4月15日  灼熱のアヌラーダプラ
 
 今日は朝から世界遺産のアヌラーダプラへ。アヌラーダプラは1815年にイギリスの植民地となるまで2,000年以上も続いたシンハラ朝の最初の都で、紀元前5世紀から10世紀末までの約1500年もの間首都だったところ。
 まず、7時半のバスでシーギリヤからダンブッラまで行く。


 そしてダンブッラで乗り換え。来たバスの車掌に「アヌラーダプラ?」と言うと乗れというしぐさをしたので乗ることに。ところがこのバス、超満員。乗れるの?という感じで後ろのドアから乗り込む。乗ったところは人でいっぱいだったが、中の方にはまだスペースがあった。といってもこのバス、右に3人がけ、左に2人がけのいすが並び通路がとても狭い。狭い通路に立つこと約30分、次の町のバスターミナルでようやく座れた。

 10:20 アヌラーダプラに到着。バスターミナルにいたトゥクトゥクと交渉し、1500Rp(約1000円)で遺跡巡りに出発。しばらく走ると運転手がトゥクトゥクを止め、こんなことを言ってきた。「アヌラーダプラの入場チケットが2人で6000Rp、トゥクトゥクが1500Rp、別にチケットを買わないといけない所が2箇所あって2人で800Rpの合計8300Rpを5000Rp(約3400円)にするけどどう?」
 
 後で分かったことだが、実はチケットのチェックポイントを通らなければチケットを買わずに見て回ることができるということなのだった。つまり僕たちもチケットを買って回るより安くなるし、運転手はチケット分を含めた5000Rpがまるまる自分のものになるというわけ。この時はまだよく意味が分からないまま、まあ安くなるんだったらとOK。

 初めにつれて行かれたところは、ブッダが瞑想した場所。と言っても大きい岩が並んでいるだけでよく分からない。そこにいた人に聞くと、岩の裏側につれて行かれた。岩の下に小さい仏像が祀ってあったのでどうやらここでブッダが瞑想したらしい。



 続いてイスルムニヤ精舎。ここは1人200RPのチケットを買って入場。本堂にはダンブッラの石窟寺院と同じ涅槃像が横たわっていた。
 この寺は岩に包み込まれるような形で建てられていて、岩の上に登ることができる。アヌラーダプラの寺や遺跡の中はほとんどが靴を脱がなくてはいけない。ダンブッラの経験から今日はずっと靴下をはいたまま歩くことにした。でも岩の上に行くまではふつうの土の道を歩かなくてはならず、ちょっと気持ち悪い。
 岩の上に上がるとアヌラーダプラの町が見渡せる。でもきのうのシーギリヤからの広大な眺めに比べたらあまりに違いすぎ。
 ここイスルムニヤ精舎で有名なのが恋人の像という石のレリーフ。5世紀の作品といわれ、彫られている男女は紀元前2世紀に実在した王子とその恋人らしい。

 

  

 続いて、その奥にある王宮庭園へ。ここには王妃と王の沐浴場が残っていた。王妃の沐浴場のほうがうんと広いのはなぜ。そして、恋人の像もここで発見されたらしい。


 続いてアヴェーディリア・ダーガバ。ダーガバというのは仏塔のことで、この町には大きい仏塔がたくさんある。今でも信仰の対象になっているようで、どのダーガバにもお参りに来ているスリランカ人がたくさんいた。ただ、白い仏塔は日を反射し、近づくととても暑い。その上いちいち靴を脱がないといけないのが面倒で、ここは手前から拝んだだけ。



 この日のアヌラーダプラはとても蒸し暑く、もうこのあたりで体は汗でびっしょり。そしてだんだん疲れてきた。
 次はツイン・ポンズ。僧たちの沐浴場。もうどうでもよくなってきた。
 
 そしてクイーンズ・パビリオンという王妃の建物跡。何か広くて立派な建物という名前からの印象だったが、石の柱が立っているだけ。そしてここで有名なのが入口の前にあるムーンストーンと呼ばれる石。象、馬、ライオン、牡牛と4種類の動物が彫られていて輪廻を表しているという。でも何のために置かれているのかよくわからない。


 その横の遺跡にはガードストーンといわれる石が入口の両横に立っていた。横にはランカラーマ・ダーガバ。またまた白い仏塔。暑い。お供えの花がきれいだった。

  

 そしてアヌラーダプラで一番有名なスリー・マハー菩提樹へ。ブッダがその下で悟りを開いたインド・ブッダガヤの菩提樹の分け木といわれ、ここがスリランカの仏教徒の聖地となっている。この日もお参りするスリランカ人でいっぱい。トゥクトゥクを降りたところから長い参道を歩いていく。暑い、暑い。
 
 ようやく入口。靴を脱ぎ、なぜか男女別の入口を入る。中は砂地。炎天下で熱々の砂の上は靴下を履いていなかったらとても進めなかっただろう。菩提樹の前の広場の上には色とりどりの旗が取りつけられていてきれいだった。
 菩提樹は柵で囲まれた上のほうにあった。樹齢2000年という割に細い枝には、金色のつっかい棒がつけられていた。そして菩提樹の奥のお堂は熱心にお参りする人でいっぱい。

 

 菩提樹を見た後は、再び長い参道を戻ってルワンウェリ・サーヤ大塔へ。暑い、暑い、暑い。蒸し暑いし、風はないし、のんびり休めそうな木陰もない。
  ルワンウェリ・サーヤ大塔はアヌラーダプラのシンボルのような塔。この日いくつかの白いダーガバを見たがその中でも一番大きいもの。靴を預け、塔に向かって歩いていく。
 塔の周りは黒い象で囲まれている。塔に近づくと塔からの照り返しもあって、暑さが倍増。靴下をはいていても足の裏が熱いぐらい。裸足のスリランカ人もとても熱そうで、日なたを歩くときは走っている人が多い。
 もうこの頃になると暑さでもうろうとしてきて、観光どころではなくなってきた。あまりの暑さに塔の周りにはとてもいられず、早々と退散。

  

 何か冷たい物を・・と思って売店をのぞいたが、この辺りの売店に冷蔵庫はなく、冷たい飲み物は売っていない。ショック・・・。
 生ぬるい水を飲みながらトゥクトゥクに乗ったら、今度は急に雨が降り出した。この急激な天候の変化はなに?
 雨の中、トゥクトゥクが着いたのはジェータワナ・ラーマヤ。これも仏塔だがレンガでできているので色が茶色。日が差していない分ちょっと楽になったし、照り返しもないので最後の力をふりしぼって塔に近づく。でも、塔に近づいた頃には雨が止み、今度は蒸し暑さが倍増。

 

 ここでアヌラーダプラの遺跡巡りはおしまい。落ち着ける場所もなく、いくつもの場所をただトゥクトゥクで連れて回られただけという印象だった。今なお聖地として多くのスリランカ人の信仰を集めているところなので、遺跡という感じがあまりしなかった。そして何より、強烈な蒸し暑さが辛かった。

 結局チケットのチェックは一度もなく、チケットなしで回れたことになる。でも結果としてチケット代の分のお金をトゥクトゥクの運転手がくすねた形になり、何か釈然としない思いが残った。

 帰りは再びバス。乗った時には立っている人は誰もいなかったのだが、途中からどんどん人が乗ってきて超満員に。僕は一番通路側に座っていたので、立っている人に肩をぐいぐい押され、足も動かせない状態になりかなり大変だった。数えてみると、僕が座っていた前から2番目の席から前の出口までの間に何と10人の人が立っていた。
 そしてその混雑の中を車掌さんがお金を集めに回り、バスを降りる人が立っている人をおしのけて出口に向かうのだ。恐るべし、スリランカのバス。
 
 ダンブッラに着いたときはさすがにホッとした。ダンブッラでバスを乗り換え、シーギリヤに戻った。


 同じホテルで3泊目になり、アラカルトもディナービュッフェも食べたので、夕食はとなりのホテルに行ってみることに。泊まっているホテル・シーギリヤよりちょっと高いホテル。でもレストランの値段は安く、頼んだカレーはなかなかおいしかった。