8月15日

考えさせられた一日


6:30 起床。朝食後、日曜・祝日と続き、なかなか出せなかった洗濯物を、ホテルの向かいの洗濯屋に出す。

8:00 サファタセカンダリースクールに向けて出発。アピアの近くの学校かと思っていたら、島の反対側の学校で、やたら遠かった。
セカンダリースクールとカレッジの違いは、大学に進学するための条件となる13学年があるかないかということ。でも最近は、セカンダリースクールでも13学年をつくるところも増えてきて、厳密な区別はなくなってきているらしい。

きっちり1時間かかって、9:00 サファタセカンダリースクールに到着。

学校へ入ると、ちょうど教室移動の時間だった。でも、今まで行った学校と何か雰囲気が違う。なぜか無関心な感じで車の横を通り過ぎていく子が多い。こちらを見たり、手を振ったりする子も少ない。子ども達の表情にも、生き生きした感じがあまりない。「これは、何か指導が入っているのかな?」などと、車の中で話しながら、授業の始まるのを待った。

この学校には、JOCVのFさんが派遣されている。Fさんが担当する、理科の授業をまず見せてもらう。授業に集中している子、全く授業に参加していない子とすごく極端だ。バイメア小学校で、みんなが集中して授業を受けている様子を見たので、何か違うなと感じた。ある面、日本の中学みたいだなとも思った。そんな中、Fさんは、一生懸命授業をしていて、情熱がとても伝わってきた。

    

次に、サモア人のこわそうな男の先生の経済の授業を見に行った。ここのクラスでは、みんなすごく集中している。先生が、何か言うたびにみんなが大きい声で返事をしている。なんか、緊張感がある。でも、何か変だ。わかってても、わかってなくても、とにかく「はい」と返事しているみたいだ。よっぽど、先生がこわいのかなという印象を受けた。

    

今まで行った学校との雰囲気の違いに戸惑いながら、1時間の授業参観が終わった。
続いては、[JAPANBOX]。アサウと同じ、壁のない集会所のようなところに全校生徒が集まった。

    

アサウでは、生徒達のパワーをもらった感があったが、今回は何か気分が乗らない。集会所にも、なごやかな感じではなく緊張感があって、最初のあいさつの時こちらも緊張してしまい、一瞬頭の中が真っ白になってしまった。縄跳びでは、誰かが引っかかるととても受けた。習字では、発音がおかしいのか、僕が前に出た子の名前をいうたびに受けた。でも、箸からは、何かシーンとしてしまった。これは何とかしなければととっさに、先生に前に出てもらったが、これが逆効果だった。余計なことをしてしまったと反省。

着物の着付けまで何とか終わって、今度は、生徒達の番。歌声は、前に行った2校に負けず、とても美しかった。かばんを太鼓代わりにたたく音もあって、すごく迫力があった。最後は、生徒達と共に踊って、終了。

    

職員室で食事をいただいた後、Fさんに話を聞く。話を聞いて、この学校に来てからもやもやしていたことが晴れた。

・この学校は、サモアのセカンダリースクール、カレッジの中で、一番成績が悪い学校。
・小学校を卒業したら、成績のいい子は遠くのカレッジに通う。逆に、成績の悪い子がいろんなところからこの学校に集まってくる。
・英語がほとんどわからない子、授業にまったくついてこれない子もいる。そんな子には、教室の掲示物をノートに写させている。
・先生の体罰が当たり前になっていて、ほうきの柄で生徒をたたく。一日に5本ぐらいほうきの柄が折れる日もある。
・先生達も、この学校に来たがる人は少なく、今いる先生も早く出たいと思っている。
・校長がワンマンで、他の先生ととても仲が悪い。余計に、先生達はやる気にならず、3人しか先生が来ていないという日もあった。
・[JAPANBOX]の時、前へ出る生徒も、実は校長が選んでいて、もし勝手に出たら後で怒られる。

この学校の、この変な雰囲気は、大人達が作っているんだ。暴力で管理することの恐ろしさを感じた。陽気なサモアの子どもが、これだけ変わってしまうんだから。

Fさんは、日本では塾でしか教師経験がなく、大学卒業後すぐにサモアに来た。でも、「ここの学校の子は、個人的に教えたら、わかりたい、学びたいという意欲は日本の子以上にある。」「私は、絶対暴力を使わないで教えていきたい。」「今は、この学校に来られてよかったと思う。」という言葉に、これからもがんばってほしいと心から思った。

学ぼうとする意欲はとてもあるという言葉と、歌を歌っているときの生徒達の表情が救いだった。
サモアで訪問した学校に、この学校が入っていてよかった。

この日の午後、SPREPのJOCVのFさんから聞いた話でよけいにスッキリした。
・サモア人は、わかっていないことでもわかったという。
・サモア人は、人の顔色を見て行動する。

まさに、サファタの生徒達は、サモア人そのものだった。




一旦、アピア市内に戻って、CD屋さんとか見た後、今度は
南太平洋地域環境計画(SPREP)へ。

ここは、南太平洋諸国が環境問題に取り組むために作った組織の研修施設。2000年に作られた。ゴミ処理、気象変動、動物の絶滅、森林減少などの問題について、研修・啓発を行っている。
ゴミ処理の専門家のHさん、コンピューター担当JOCVのFさん、PR担当のオランダ出身のNZ人Jさんから話を聞く。

    

ゴミ処理に関係ある話では、サモアでは土に帰らない石油から作るスーパーのビニール袋は輸入禁止になっており、トウモロコシから作った土に帰る袋を使用する方向になっている。しかし、土に帰る袋の弱点は、弱いこと。石油から作るビニール袋は、まだまだあと何年も備蓄があるらしい。このPRのために、ウミガメをキャラクターに使ったキャンペーンを行っている。実際、ウミガメがビニールの袋を飲み込んで死んでしまうことはよくあるらしい。

Hさんは、サモアでの仕事や暮らしなどをホームページにアップしているそうで、アドレスを教えてもらった。
サモアでの生活がとてもよくわかるホームページ・・こちらからどうぞ。

車に乗って、
タファイガタ埋立場へ向かう。廣中さんは、福岡方式と呼ばれるゴミ処理のスペシャリストで、世界各国で、その技術を指導されてきた。自分の仕事や技術に誇りを持ったお話を、とても興味深く聞かせていただいた。「全然においがしないでしょ」と、自信たっぷりにお話される姿は、とてもかっこよかった。

福岡方式とは・・・こちらから

海外旅行に来て、ゴミ埋立場など普通はまず行かないし、その国のゴミ処理のやり方について考えたこともなかったので、今回のこの見学はとても新鮮だった。ゴミをためていく方法をちょっと変えるだけで、臭いがしなくなるというのにもびっくり。そして、地中の微生物、汚水の中の微生物の働きのすごさにも感心した。

ちなみに、サモアのし尿処理は、地中にしみこませているそうだ。しかし、火山島の溶岩のおかげで、地中深くまでしみこみ、沖合でまた、わき水となるそうだ。

    

アピアへ戻り、インターネットに行くと、きれいな夕日を見ることができた。
海に入って、ラグビーボールで水球をする一団も。サモア人は、あまり泳がないと聞いていたのだが・・・
気持ちがいいのでそのまま、散歩を続けて、フリーマーケットまで行き、戻る。途中で休憩していたら、おかまの2人連れに声をかけられる。おかまの多い国だ。

  

夕食は、ホテル近くのSCOOPという店の、チキン&チップス(14タラ=約560円)
ついに、初日に替えた200ドル分のタラがなくなり、借金生活に突入した。

ホテルの2階で、食事。今日午前中に訪問した、サファタセカンダリースクールについて思ったことを話し合う。昨日と違い、今日はマジな話で気がつくと11:30だった。12:00就寝。